ワカンを考察する(バンド緩み)

Ry.K記

【目的】
 前回の雪山山行で、急斜面をワカンにてキックステップにより登った時、ワカンの不具合が発生した。これは、
靴とワカンのずれおよびワカン横ベルトの爪への食い込みについて考察するものである。詳細は「黒姫山」記録
  (http://oomiya-rouzan.la.coocan.jp/2012.03-02.htm)を参照。

【現状】
 私が使用しているワカンは、「エキスパートジャパン」製。ワカンの前後両方とも上方に反返り歩きやさを重視したタイプである。本体はジュラルミン製で爪はステンレス製。靴側  (上部)から全体状態(写真-1)
靴との装着状態を底面から見る(写真-2爪に食い込んだ横バンド(写真-3

支点

また、ワカンへの雪の付着には、塩化ビニール製「スパイラルチューブ」の適用がHPで紹介されていた。写真-9

また写真-7に対策前後の対比を行なった。左側が対策後で見た目にも安定していることがわかる。

Cに関しては、構造上の問題であり対策を講ずることは出来かねる。しかし前記対策により、回転支点が前方に移動することで、ワカンと靴の広がりを抑制し、構造上の問題も是正されると思われる。
このとき横バンドの離隔が広くなった事により前後のバンドの一体感が薄れ、靴と後方横バンドの固着力が増すものと期待できる。

 今回の対策とは関係ないが、前固定ベルトの対策も併せて記載する。現状では、ベルトが内側に向き外側にするのが難しい。このため固定方法を変更し、ベルトを靴の外側にすることで作業をし易くするものである。写真-8参照、左が対策後で右が対策前。当然余分なベルトはカットする。

後横バンド

前横バンド

これ以後各パーツは下記名称で呼ぶ。
 靴を載せる幅広ベルト→「横ベルト」
 横バンドの固定ベルト→「縦ベルト」
靴の前頭部固定ベルト→「前固定ベルト」

不具合の原因と想定される項目。
  @縦ベルト余り分が長くかつ、上部(横ベルトと靴の間)に有るため靴の踵が余り分に乗り上げる。
  A縦ベルト金具が靴底で滑る。   
 B横ベルトの前後離隔距離
L)が短く、靴と横ベルトの摩擦力が低下する。
  C雪面に蹴り込むと、靴先端部は水平方向に動くが、ワカンは先端が反返っているので上方に作用され、
  靴とワカンは相反する方向に動こうとする。つまり前方の横バンドを支点として、靴と後方の横ベルト
  の固定が緩む。このとき更に蹴り込む事により靴だけが前方にずれ、この結果としてベルトの緩みが発生する。

 側面からのイメージを下記、模式図-1に示す。
対策を施したワカンに靴を装着した状態が写真-5と−6である。

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後方

前方

【対策】想定される不具合原因の対策。写真-4参照。
 横バンドを拡げ、横バンド固定と爪への切り込み防止用として結束バンドを使用した。(ヘラマンタイトン梶uインシュロック」ナイロン製)。
 ちなみにワカンのメーカからは、横ベルト摩擦保護用のリングが市販されている。名称は ネイルパックSN7(ネオプレンゴム製)。

 以上により、@・AおよびBで懸念した、横バンドの離隔距離を拡げ、縦バンド金具を下面に移動。

この結果余分なベルトが無くなり、靴底の横バンド乗り上げが是正されると思われる。

テキスト ボックス: 離隔距離(L)