ワカンを考察する2 (改造結果)

【目的】改造したワカンの使用状況を確認したので報告する。
【調査条件】調査場所:「荒海山」八総鉱山跡地?南の尾根経由山頂へ(夏道無し)
          調査日:平成24320日 -20度 晴れ
          積雪状況:3m程度、一部凍結あり
          ワカンメーカ:エキスパートジャパン
【使用結果】
          概ね満足のゆく結果となり、良好であった。一部凍結した雪面へのキックステップには、固定バンドが緩
      むことはあったが、その後
7間以上の登攀に対しては、固定バンドの緩みが生ずることもなく安定した
      装着感を感じた。写真
-1が下山直後の状況で、緩みが発生していないことが分かる。
          改造前は、横バンドの離隔が狭く不安定な装着感であったが。改造後は、全体重がワカンつまり横バンドに支えられ、
       ワカンに乗っている感覚でより靴との一体感が得られ安定した歩行感を感じた。

これにより、横バンドには面で拘束するため、安定すると思われる(写真-56改良完了状況)ただ、
インシュロックはナイロン製のため耐久的に検証が必要だ。

【メーカへの確認】
     メーカに上記を確認したが下記の返事を頂いた。
    @基本的に、ワカンは上下動を積極的に即す事を設計思想としている。
    Aバンドの緩みに関しては、どこかが緩んでいると思われるとの指摘を受けた。
   (「しかし緩んでいるのなら横バンドが爪に食い込むことが納得行かない」)電話であり真意を計りかねる。

   B後方固定バンド(靴の踵固定)の最適長さは?「規定された長さはなく、フリー構造となっているので
    それぞれ
に合う長さを各人で調節する。」
    C横バンドの取替可能(やり方は未確認)
    Dパーツ名称で、私が縦バンドと呼んでいる部材は「センターバンド」と呼ぶそうだ。

メーカの方には、丁寧な対応を頂きまして有うございました。

【その他】
    余談ではあるが、靴先のみ固定し踵はフリーの装着方法も有るようだ。
    これはHPで「雪崩発生時にはワカンを脱ぎやすくするため靴先しか固定しないと」の記載も見たが
   (素足で素早く移動できるのか?移動可能ならワカンが不要なのでは無いか?)真意の程は疑問がある。

等々分からないことが多く有り、助言をいただければ幸いである。  (Ry.K記)

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:横バンドのズレは無し

:ズレたインシュロック

 この天然ゴムを幅1cmの短冊状に切断し、ワカンの円周に添わせるため、端部を斜めに切り落とした。(写真-3加工部材)

 短冊状に切断した天然ゴムをインシュロックでワカンに固定した。(写真-4作業状況)

写真-3加工部材

写真-2使用した部材

写真-4作業状況

写真-56改良完了状況

写真-1下山直後の装着状

【課題】
    @横ベルト前側の固定具(インシュロック)は登山中にズレてくる→インシュロックが後方にズレても横バ
    ンドは後方に移動しない。

    A後方横バンドの爪への保護は現状頼りなさそう。→インシュロックの厚みが薄く、結束部の点で引っ掛か
    っている状況。

【改良】
    @に関しては、固定部材が無くても横バンドのズレが発生しないことから特に対応なし。
    Aに関しては、固定部材が横バンドに対して点ではなく面で接触するように、固定部材に厚みのあるものを使用した。
    具体的には下記の天然ゴム 
10cm×10cm 厚み5mm(写真-2使用した部材)を今回は用いた。