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最初に「つづら岩」の紹介です。つづら岩は奥多摩の大岳山から南東に延びる馬頭刈(マズカリ)尾根の途中(大岳山の山頂と馬頭刈山のほぼ中間)にあります。昨年はO知さんが御岳山・大岳山・馬頭刈尾根の縦走途中で見学に来ました。最短コースは千足のバス停のすぐ西から林道を登って行きます。

 バス通りからの入り口に「天狗の滝・綾滝」の道標がありますが、車だと見落とし易いので注意。舗装された林道の終点が登山口ですが、林道終点は駐車禁止なので、車は少し戻って駐車スペースを探します。マイカーが無いと不便ですが、それ以上に林道から約1時間半の急登が課題です。

 通常の日帰り登山装備(水、非常用品共)に加え、クライミング用品(ロープ、カラビナ、等)の詰まったリックザックは重い。こんなの担いで高い山を登る人はすごい、ましてや冬なんて想像を絶する。

去年6月の、つづら岩の練習を良く覚えている。リーダーのM田さんは「私は先生役を続けるつもりは無い。一緒に登れる仲間が欲しいので、一緒に練習しましょう。そして、今日覚えてもらった技術はしっかり身に付けて、次回は皆さんが次の人に教えてあげて下さい。そして、今回参加した人は次のステップの練習に進みましょう。」と言っています。だから「三点流動分散支点の作り方」と「プルージック結び2個でメインロープを登る方法」を事前に練習して今回の訓練に臨みました。

ここからが今回の報告です。

1日目、息も絶え絶えで先頭からかなり遅れ、つづら岩になんとか到着した時は汗びっしょり。最初に、技術チェック項目のリストを渡された。「全部出来る様になってね!」という意味だろう。

いよいよ訓練開始、最初に「ビレイヤー(確保者)が、セルフビレー(自己確保)をメインロープでセットする理由は?」と質問され、「手っ取り早いから」との私の答えは不正解。「ビレーヤーとクライマー(登攀者)の人生を区別する為」が正解だそうです。

ちょっと哲学的な表現ですが、「クライマーが落ちて大怪我しても、ビレーヤーが大丈夫なら、何らかの事後対応(セルフレスキュー、救助要請など)が出来る。二人とも落ちて大怪我して動けなければ、そのまま死んでしまう」という意味だそうです・・・言葉では分り難いかもしれません。

次に、ビレーポイント(確保地点)での、確保用の支点の作り方の練習。大きな木や、絶対に動かない岩なら、それだけで充分だが、ハーケン・残置ボルト・小さな植物などで支点を作る場合は3点を使い、3点流動分散とするのが原則。

直径1cm程度の小さな木(苗木程度)を支点にする場合はフリクションノット(プルージック・クレイムハイスト等)で結ぶ、岩にスリングを回す場合はスリングが外れ難い様に結ぶ、などを習う。下向きに力が掛かるのだから、小さな木にフリクションノットで結ぶ意味が理解出来なかったが、「木が抜けそうになって、おじぎしてきてもスリングがスッポ抜けない為」と説明され納得。

ビレーの為の制動器(エイト環・ATC・ルベルソ等)は、ハーネスのビレーループにセット(ボディビレー)し、クライマー側のメインロープは3点流動分散にセットしたカラビナを仲介させる。「クライマーが落ちた時にビレーヤーが引かれる方向が定まり(必ず一番近いカラビナの方向に引かれる)、衝撃を緩和する事も出来る為」と説明される。

ロープの結び方や、3点流動分散のセットは、山でなくても家のベランダや公園のジャングルジムでも練習できるので予習しておこう(岩場で練習していたら、時間がもったいない)。

 私達は地面の上で模式的に、「ビレーポイントのセット・リードが登る・フォローが登る・懸垂下降」の手順を練習した。次に、土手で樹木にランニングビレー(中間支点)をセットしながら同じ練習をした。

午後から、岩場の短いルートで同じ事を行う。設定した終了点は高さ4m程度の場所で、しっかりしたハンガー(ステンレス製で、深くアンカーボルトをドリルで打ち込んだ強固な支点)が2ヶ所ある安心な所だ。3mほど登ってから5mくらいトラバースして終了点に着く。

パートナーがリードで登り、フォローの確保の準備をし、私が登る番になった。トラバースの途中で1ヶ所だけガバ(がばっとしっかり掴めるハンドホールド)が見つからず躊躇していると「右足下げて、左足上げて、左手伸ばして・・・」と手取り足取りのアドバイスを頂き、最後に「クライミング下手すぎ、もっと練習しろ」のアドバイス。

左手の中指がつった状態で、必死で終了点に到着。でも、まだ終わってない。セルフビレーをセットし、懸垂下降用にロープをセットし直す。回収時は「白ロープが下だから、白を引きだね」と二人で確認、忘れたら大変。私が先に懸垂下降するが、降り始める直前に「バックアップ用にスリングをプルージックで結ばないの?」と下で監督してくれていたH竜さんから声がかかる。去年、一緒にロープワークの練習をしてくれた時の事を覚えていてくれたのだ。懸垂下降を始め、垂直な岩壁を降りている途中で「なんで手袋をして無いの?」とH竜さんから再び声がかかる。「言うなら降り始める前に言ってください」という掛け合いはほとんど漫才、余裕ありすぎか?でも懸垂下降で身を投げ出しロープに全体重を預ける時は何回やっても緊張する・・・でも、その緊張感を持ち続ける事は良い事だと思っている。

私が降りた後に、余ったロープを下ろすが、絡まってしまう。「そのまま投げ下ろして」と私が言うと、「だめ」とストップがかかる。二人とも降りた後にロープを回収するが、股裂き(回収時に2本のロープが絡まない様に完全に分離する)を忘れていたのでロープを引くのに力が要る、監督から注意された事は言うまでもない。すでにセットされたロープで自分が懸垂下降するだけなら自信があったが、その前後が難しい・・・練習しよう。

最後につづら岩のてっぺんに登って景色を眺めて本日の訓練は終了(懸垂ロープの回収不能も実習)。いや、まだあの急登の登山道を下山しなくちゃ。途中で薄暗くなるが、ぎりぎりヘッドランプは点燈せずに林道に到着。

秘密のテント場に移動して、私はリュックサックを置いて、自分の食料を買出しに行く。下山でも大汗をかいたので、瀬音の湯に先に行く(軟弱か?綺麗好きの山男なので)。テントに戻ったら宴会第一部は終了して、H竜監督は半分寝ていた。でも、残しておいてもらったかつ丼を御馳走になる(翌朝のうどんも御馳走になり、ありがとうございました)。お風呂に行っていたリーダー・サブリーダーと、今夜から参加する4人も到着し、H竜監督も復活して8人用テントで宴会第2部のはじまり・・・いろんな話が出たが、内容はナイショ(実は、ほとんど覚えてない。エイト環のロックとか?)

テントが3張だったので徐々に宴会から離脱し就寝、翌朝4時半起床予定なので23時に宴会終了。寝る前に真っ暗な道路を100mほど歩いてトイレに行く、ここで転んだら新特別基金は出るだろうか?私はお酒を飲んでないが、それ以前に車まで戻った時点でもう対象外か、と考えながら注意して歩く。

2日目。暗いうちに起きたが、登山としては朝寝坊かも。若干勾配があるが平坦な床と、トイレットペーパー付きの明るい水洗トイレで、飲み水もくめるので快適テント泊だった。

観光客の車が来ると迷惑をかけるので、その前に撤収してつづら岩の登山口に向かう。私が登山口に着いた時は後続の車がまだ到着してないが、「先に歩き出して良い」とのリーダーの指示で2人目に歩き出す。体力も無いと分ってくれている、つづら岩に到着したのは最終組だった。みんな立派だ、いや私がだらしないのか、でもこの登りだけは好きになれない。

つづら岩で2日目の訓練を始める。1年前の約束通りに、私とパートナーで今日から参加の2人に昨日の私達が練習したことを説明する。しかし、残念ながら途中で打ち切る。

 昨日と違い、他のクライマーが多く岩場を占領されそうなので私達も岩場に取り付く事にした為だ。リードと、フォローを交代で練習した。最後に、上から懸垂下降してくる上級者に残置ヌンチャクを回収してもらって終了。次からは自分達で回収しよう。

2回目リード体験のT脇さん

無国籍チーム 月の輪熊ペア
   利&智

 つづら岩での訓練が終わっても、まだ最後に避けて通れない、あの急登の登山道の下山が残っている。昨日より時間が早いので気持ち的には余裕だが、ここで転んで怪我をしたら「気を抜いただろう」と絶対に言われるので最後まで慎重に歩く。

 駐車スペースに到着して解散、みなさん御世話になりました。私は、掛け持ちで入会している新座山の会に下山報告のEメール送った後に、3時間かけてオートバイで帰った。次回(11/8)も頑張るゾー。   (Su.K記)

女子部最強マルチペア純子&貞子

ヤホー 初リードのコンドで〜す。

ステップアップトレーニング(新人教育部)

「檜原村つづら岩・ 岩場対応技術講習&修得トレ」

山行実施日;9月26日〜28日
参加メンバー;Su.M、Ju.S、To.H、Sa.H、Se.O、Su.K、To.S、Ky.T、Mi.S、Is.U