花も温泉も楽しめた安達太良山

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 岩槻インターから東北道へ入り、途中事故渋滞もあったが無事登山口に到着する。今回は楽をしてあだたらエクスプレスで一気に1350メートルまで到達する。ゴンドラから眺めると、針葉樹は少なく広葉樹林が多い。広葉の季節はさぞ美しいだろうと想像する。皇太子と雅子妃が登山をされたようで、しばらくは整備された木道が続く。木道沿いには低木のベニサラサドウダン、イソツツジが、足元にはツマトリソウやマイズルソウ、アカモノなどが登りの疲れを癒してくれる。山頂乳首では強い風が吹き眺望も望めず残念である。今夜の宿はくろがね小屋
 珍しく温泉が楽しめる山小屋である。湯ノ花で真っ白な硫黄泉は湯加減もちょうどよく、クライミングで傷だらけの下肢に良く効きそうである。小屋の管理人から源泉から温泉を引く苦労や湯の温度管理の難しさなどの話を聞き、ありがたみが増す。

温泉で暖まった後は、お決まりのビールで乾杯。リーダーは地元二本松の清酒を飲み比べながら、S々木さんとともにおいしそうに飲んでいる。お二人の姿を見ると私も良い心持ちになってくる。夕食のカレーライスをおかわりして、満腹で爆睡。         

 二日目は小屋から峰の辻、馬の背、鉄山、最高峰の箕輪山まで尾根歩きをし、安達太良山まで引き返し、往路を戻る。馬の背から眺めた沼の平の噴火口の風景は生きものを寄せ付けない厳しさを感じた。つい100年前にはここの鉱山で80人近くの人が亡くなっているそうである。鉄山の岩山にはイワカガミが可憐な姿で咲いている。さすがに風が強い尾根では聞かれなかったが、鳥のさえずりも途切れず聞こえる。安達太良山山頂の乳首は晴れている土曜日ということもあり、登山者が列をなしていた。昨日は私たちだけだったのに。木道を戻るころにはだんだん曇ってくる。帰りがけの岳温泉に入浴する頃にはぽつぽつ雨も降ってきた。

岳温泉の湯船にはさすがに湯ノ花は少なく、一見透明に見える。この温泉もくろがね小屋の上にある源泉から木簡に守られて流れてくると小屋の管理人から教えてもらっていた。温泉ではくろがね小屋で出会った北本山の会のにぎやかで心温かい女性たちと再会する。髪は石鹸を使わずお湯で洗うようにと地元の方の教えを伝えてくれる。家に帰っても二、三日の間、硫黄のにおいに身体全体が包まれていた。

O知さん、S々木さんと穏やかなお二人との山行で、私も気持ちの良い時間を持つことができた。広葉の季節に再び訪れたい山である。(Mi.S記)