「アポイ岳」は高山植物の宝庫という本を読み、是非登ってみたい山だった。

ある旅行会社のツアーでアポイ岳を登るチャンスが来た。もちろんこの山のお目当ては高山植物。新千歳空港に降り立つ。この時期、北海道はすごい人気です。本州からぞくぞく飛行機でつき、いろいろな観光会社のツアーバスに乗って出発。我々14名も用意された専用車に乗り込み、4時間かけ、襟裳岬、そして、夕方、様似町にある「アポイ山荘」にようやく到着。

ヤレヤレ、本当に北海道は遠いですね。山荘から、見えているのが、明日、登る予定の「アポイ岳」。夕食後、地元の方より、高山植物保護と、アポイ岳の登山の注意のお話が1時間あった。

登山道以外の場所は立ち入り禁止。ストックの先のゴムキャップを必ずつけること。そして勿論アポイ特有の高山植物の説明があったが、私が大変興味をもったのは、アポイ岳の岩石だった。この山は、「かんらん岩」で、できているというのだ。それって何?。そして、「かんらん岩」とは、どこから、やってきたのか。地球はちょうど、ゆで卵のような構造になっている。

地球をゆで卵に例えると、殻は地殻で、白身がマントルにあたる。黄身は「核」。ユーラシアプレートと北米プレートの衝突の運動で地下深くから、付きあげられるように現れたのが「アポイ岳」。そのマントルは鉄やマグネシュームを含み他の岩よりも重い。アポイ岳のかんらん岩は地球の奥深くから盛り上がってできたものだそうです。

そして、「かんらん岩」は非常に変質しやすい岩石で熱や水分で簡単に「蛇紋岩」という岩石にかわってしまうのだそうですが、アポイ岳のかんらん岩は非常に新鮮で蛇紋岩化せずに地下深いマントルの情報をそのまま保っていることから大変貴重で、今世界中から注目されている山だそうです。

これはいい話を聞いた。明日が楽しみだ。翌日5月19日8時半、出発。ビジターセンターで昨夜とは違う地元のガイドさんの案内で登山開始。天気は曇り。山にはガスがかかって、どうやら、上は雨っぽい。登り始めてすぐにたくさんのお花達に囲まれ、ガイドさんは声を張り上げ説明してくださる。カメラマンも忙しい。ここで、また、私、カメラを忘れてきたことを思い出した。しかたがない、目と心にしっかりとどめなくては。

あの有名な「ヒダカソウ」は無。五合目避難小屋を過ぎて、岩の登山道に変わった。これが「かんらん岩」だと教わったが、はて?普通の岩とどう違うか?お恥ずかしい、わからなかった。勉強不足は悲しい。八合目でたくさんの高山植物に囲まれながら、昼食をとる。

今日の弁当は山荘で用意されたもので、二段式の豪華弁当。ガイドさんも同じものを食べていたが、「すごい弁当だな」と、感心していた。上から登山者が下りてきた。

どの人も、「上は雨、なんにも見えないよ」という。ガイドさんも上は見晴らしが悪いのですよ、という。でも、せっかく埼玉から来たのですから、どうしても山頂に行きたいと、ガイドさんに言うと、「わかりました。必ず山頂に立たしてあげます。ゆっくり行きましょう。」と、ゆっくりゆっくり急登を進む山頂まじかになると、今までと世界が変わった。

葉っぱをまったく付けていないダケカンバの林。真っ青な空。山頂到着。「ワーきれい、キレイ」連発。なぜか今までとは違う世界。どの人も両手を広げ、興奮して、にぎやかにおしゃべりし、記念撮影をしたり、大騒ぎになった。

我々だけの貸し切り山頂。初めて出会った人達なのに、急に仲良くなった。すっかり打ち解けた雰囲気になった。見晴らしがないといっていたが、うそです。素晴らしい景色でした。真っ青な空の中、ゆっくり下山。下山中、またまた、ガイドさんの回りに集まり、身をかがめ熱心に見ている。なんだろうと私も首を突っ込む。セメチャマダラセセリ。小さい。

夫の利光が「克己さんだ!」と叫ぶ。皆、「エ?」という顔して、キョトンとしていた。可笑しい。ガイドさんは日本ではアポイ岳周辺でしか見られない天然記念物の蝶ですよ、と、説明していたが、すぐ、ヒラヒラと消えてしまった。見損なった、「克己さんをここへ連れてこなくっちゃあね。」

ビジターセンターに戻ってきた時間は夕方5時半。ずいぶんゆっくり、じっくり学習したものです。ゆっくり登山した理由は天候の回復をまっていたのですね、あのガイドさんは、さすが地元の人だけあって、山の天気をよく読んでいたようです。

 来年の春はピンネリ、吉田岳、アポイ岳と縦走したい。「かんらん岩」についてはもっと学習したい。特に吉田岳とアポイ岳の縦走路にはとてもきれいな「かんらん岩」があるそうです。   (hama記)

新緑・お花畑山行へ

戻る

高山植物の宝庫    アポイ岳

山行実施日;5月18日〜21日
参加メンバー;To.F、hama