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 北アルプス「大日岳」

  急峻な雪稜と雪庇をのっ越し稜線へ

ゴールデンウィーク後半の山行は大日岳。

2日、20時Uさんをピックアップし、いつものようにT氏宅の駐車場に車を止め、T氏の車で集合場所の大宮駅に向かう。大宮からはH車と2台に分乗し、馬場島へ。さほど渋滞もなく行けたが、途中雨が降り天気が心配になった。

高速を降りてから道を間違え、通れるの?と思うような道を走り無事、馬場島?に到着。すでにたくさんの車が止まっている。テントを張り乾杯してから眠るメンバーと、私とTさんはすぐに就寝したく車の中で眠る。

 3日、夫が所属していた山岳会のメンバーが北方稜線に登ることを知り、もしかしたらいるかもしれないと、早朝見回すと、準備を始めているメンバーを発見。挨拶をし、お互い安全祈願をして見送る。

 天気は良好。Tリーダーから「今回は天気が安定しているので突っ込むから」の言葉。意気込みを感じる。共同装備を分担し出発する。少し戻り、中山の登山口から夏道を登る。日帰りで中山を周回するパーティが先行し、道もはっきりしているので楽に中山まで登れた。途中、イワカガミの群生があちこちにあり心が和む。
 中山から夏道を外れクズバ山に向かうと傾斜もきつくなり、雪の状態も悪く歩が進まず、クズバ山より手前でテントを張る。
乾杯をし、美味しい食事で至福のひと時を過ごす。富山湾と街の灯がとてもきれい。

4日、テントを撤収しクズバ山に向かうが、不安定な雪で樹林帯に入ったり、雪の割れ目に気を付けたりと気が抜けない。トップを歩くも踏み抜き、ビビってすぐに交代してもらう。

補助ロープを出しトラバースするところがあり、リーダーに確保をしてもらいトップで行く。落ちてもあそこまでだからと言われるが、落ちたくないので慎重に進む。安全なところでピッケルを刺し、自己確保をする。ロープを固定し他のメンバーも上がって来る。自己確保にあまりロープの余裕を持たせなかったので私も引っ張られるハメに。経験しないとわからない加減だ。

 クズバ山に着いた時には、剱岳も大きく見えてきた。クズバ山からは尾根沿いに登り下りを繰り返し、西大谷山へ。西大谷山を超えると奥大日岳と雪庇、そして急峻な雪壁が迫ってくる。どこを登るの?不安とワクワク感が広がる。やっと尾根の末端まで着いた頃には雪がチラついてきた。予定のテント場はもう少し上部だが、ガスも出てきたので風の当たらないこの場所に張ることに決める。

 担いだ甲斐あり、キャベツ1個を使った野菜の炒め煮はいっそう美味しく感じた。この山行の核心となる明日の為に、早めに就寝する。

 5日、晴天。気を引き締め、急斜面を登りだす。下部はジグザグに高度を上げていく。トップを歩くと、「もっと緩やかに」と注意をされる。高度を上げるにつれ傾斜もきつくなり、一歩一歩蹴り込み直登する。汗だくになり、トップを交代しながら高度を稼ぐ。

 遭難があったようで、長い間雷鳥沢方面でヘリコプターが旋回していた。やっと稜線直下の垂直な雪壁にたどり着き、横一列に足場を作り補助ロープを固定し各自確保をする。

 リーダーがロープを結び、Sさん確保で挑戦する。アイスクライミングの要領で順調に登り、途中2箇所スノーバーで支点を取る。いよいよ張り出した雪庇に取り付く。ピッケルで切り崩し雪まみれになり、「雨具を着るんだった」と悔やんでいる。何度か切り崩しを切り返し、強引に稜線に這い上がりガッツポーズ!見守っていた私たちも、思わず歓声と拍手が沸き起こった。

二番手はUさん。ザックを背負い苦労している。3番手は私。ザックは引き上げることになり、空身で上がる。簡易ハーネスにロープを結ぶ。後が登り易いようにピッケルで足場を切る。スノーバーを回収し、片手のピッケルとアイゼンの蹴り込みで稜線に上がった(引っ張り上げてもらった)時には達成感でいっぱいだった。稜線上には沢山の登山者がいて、ワーと歓声が上がりますます気を良くしてしまった。

コースタイム〉

/2(木)大宮21:00‐関越道 東松山IC‐北陸道滑川IC
      ‐馬場島
3:00

/3(金)7:45・・・中山10:10・・・1660m付近テント場
      14:30

/4(土)テント場5:20・・・クズバ山7:00・・・西大谷山
      11:00・・・2100m付近
テント場13:00
/5(日)テント場5:00・・・2611m稜線9:0010:40
      11:00・・・奧大日岳
11:20・・・七福園13:00
      ・・・
大日小屋14:20・・・大日岳14:55・・・山ノ神
      尾根分岐テント場16:00

/6(月)テント場5:25・・・早乙女岳5:55・・・コル6:30
      ・・・
コット谷出合8:30・・・10:25小又橋手前下
      山11:30‐温泉・食事‐北陸道 立山IC
      関越道−東松山IC‐大宮‐所沢20:30

奥大日岳から立山

 6日、今日も快晴。テントを撤収し、今日で終わってしまうと思うとさみしいが、朝日に輝く剣を眺めながら下山をはじめる。早乙女岳を超え、コット谷に続く尾根を下る。コルからコット谷に入るが、快適な斜面はスキーに向いている。中洲を抜け、何度か渡渉し林道を見つける。林道は崩れている箇所もあり先が読めず、沢沿いに下るか迷う。沢沿いは雪もなく堰堤が続いている。

相談していると、スキー板を担いだ登山者が崩れた所を通過しながら歩いて来た。「行けるぞ」と長い林道歩きが始まった。最後は残雪を下り、ショートカットをして小又橋近くの道に出た。

馬場島の駐車場まで、リーダーとSさんが車を取りに行ってくれることになり、感謝、感謝。
 温泉で4日分の汗を流し、お腹も満腹にして帰路に付く。

 こんな達成感を味わえた山行は久々!リーダーを始め、同行したメンバーありがとう。

 そして頼まれたのに、「記録は書くけど原稿は書かないからね」と、拒否してしまってゴメンネ!徳重さん。
         (Sa.H記)

 1時間以上かかったが、荷物を引き上げ、無事全員が登頂。真っ青な空と素晴らしい景色を楽しむ。ここは奥大日岳手前の2811mのピーク。しばらく休憩し奥大日岳に向かう。

奥大日岳の頂上から、登ってきた雪稜と切り崩した雪庇がはっきり見える。あんなところを登ったんだと、また感動してしまった。

眼下に広がる室堂を眺めながら大日岳へ。ガスが出始め、途中幅の狭い不安定な雪稜を歩いた時は周りが見えず返って良かったかも。サラサラと雪が流れる不気味な音も聞こえた。

 雷鳥に出会い、そして掘り出し作業中の大日小屋を過ぎ大日岳頂上を踏む。

 ガスが濃くなり、何度も現在地を確認しながら進む。そのうちスーとガスが晴れ、山ノ神尾根分岐まで下りテントを張る。長い1日が終わった。