コマノカミノ頭・北尾根(新潟県・上越)冬山
眼前に雪稜のナイフリッジ!
山行実施日;2012.04.7-8
参加メンバー;Hi.T、Sa.H、Ry.K、Na.G
【1日目】4月7日(土曜日)
関越トンネルを抜けると激しい雪が降っている。「なにこの雪は!もう4月だよ。」「これで登るの!」湿気を含んだ重たそうな雪質に、皆のテンションが低下するが、ともかく旭原に向う。大源太へと続く林道は、除雪されないまま深い雪に閉ざされている。この分岐から200?300m程奥の「青少年旅行村」付近に車を駐車する。
深々と湿気を含んだ雪が降り注ぐため雨具のズボンを履いて準備を行う。登り始める頃には雪が小康状態となる。大源太への林道から北斜面に取付きP843を目指す。積雪も多く急斜面にワカンを履いての取付きとなる。
針葉樹林帯の急斜面を喘ぎながらP843に到達するが、ここからはさらにきつい急斜面に閉口する。雪質は、ここ数日の暖気のせいか不安定で、樹木周りの雪面を踏み抜くことが多くなる。やがてやせ尾根となり巨大な雪庇が現れ出す、雪庇を踏み抜かないよう針葉樹側をトラバース気味に登攀するが、雪質の脆弱さのためさらに踏み抜きが多くなる。 P900辺りからはさらにやせ尾根となり、まさに針葉樹に纏わり付くような登攀となる。延々と続くやせ尾根の終わりが見えず標高が稼げない。岩場手前をトラバース中滑落するが、Lが直ぐに食い止めてくれる。
P1040手前の岩場が立ちはだかる、左右に迂回は出来そうにない、藪の上を通過する。藪にキックステップをすると、雪が薄くスネを痛打する。テン場に出来そうな場所が全くない。計画ではP1050だがはたして期待どうりテン場に出来そうな場所が有るのか?無ければ雪洞?それも経験で良いか!
やっとP1050に到達「あった!」ここならテン場にできる。早速テントの設営にあたる。「このテントシングル?」「寒くないかな?」懸念はともかく宴会が始まる。日が暮れ始める頃、牡丹雪がテントを叩き始めた。あしたの天気が気になるが宴会は続く。
標高:コマノカミノ頭1464 旭原560
累積時間:10時間40分 累積距離:7.1Km 平均速度:0.67Km/h
【1日目】平成24年4月7日(土曜日)雪・曇り
大宮6:10−東松山IC−湯沢IC−旭原9:10/10:00・・・P843、11:35・・・ テンバP1050、14:20/就寝20:00 4時間20分
【2日目】平成24年4月8日(日曜日)晴れ 気温3度
起床3:50/6:00・・・岩場P1095、7:10・・・P1170、8:20
【断念、下山】8:50・・・テンバP1050、10:00/10:40・・・旭原13:00 −温泉−昼食−大宮 6時間20分
<旭原からの登り時間4時間20分 距離:3Km
ワカン速度: 0.69Km/h
<テンバからの登り時間2時間20分 距離:0.6Km
アイゼン速度:0.26Km/h
温泉:土樽共同浴場「岩の湯」400円 透明
アルカリ性単純温泉 上越線岩原スキー場前
諦めて安定した場所でしばしの休息。後で聞いた話だが踏み抜いた下には遥か彼方に斜面が見えたそうだ。「さぞかし肝を冷やしただろうな!」「大源太が綺麗だ。向こう側の尾根の方が易しそうだな」「クロガネ沢の東側、次回は向こうにするか」クロガネ沢には大きなデブリが見える。「登ってきた尾根が綺麗に見える。」「テン場は樹林帯の向こうだろう」
【2日目】4月8日(日曜日)
今日は快晴!4時前にテントから覗くと稜線が綺麗に見える、気温は3度と暖かい。アイゼンを装着しての登りとなる。
延々と続く痩せ尾根と雪庇のため、針葉樹の間や梢の下を両手両足をフルに使ったり、這いつくばっての「ほふく前進」体が硬い私はストレッチを強いられ、体力の消耗が激しい。また梢にザックを引き戻され、梢からの大量の落雪が追い打ちをかけるように体力を奪ってゆく。
目の前に3mほどの氷壁が出現する。狭隘な尾根には迂回出来るような場所がない。直登のみLは「ザックを確保して、スノーバー準備、スコップ」。Lはスノーバーにてビレイしながら氷壁にスコップを使用し足場を確保する。ある程度まで足場を削りだすと「SLはビレイして!ロープはインクノットで確保、三番手はロープが絡まないようにして!」Lはさらにスコップとピッケルで氷壁に挑む。最初の氷壁を登りきり二段目の氷壁を登る。登りきると「ロープをもっと出して!ここで確保する。四番手はロープ末端をエイトノットで確保!」始めにLのザックを引き上げ、次にSLがインクノットで登り順次続く。
全員登り終えると、トップをSLに変えLがすぐあとに続き、コ−スどりの指示を与えながらの登攀となる。三番手はカラビナにロープを素通しし、ラストがエイトで確保してロープを出し切るまでここに待機。ロープの余裕がなくなった時点でSL、Lが上部で待機、後の二人が登るミノムシのように繰り返しながら登攀を行う。 トップが雪渓を踏み抜く。前方は雪稜のナイフリッジ。「どうするか!……」しばしの沈黙「無理だろう。危険すぎる」「どちら側に踏み抜くか見当がつかない!踏み抜く側が予測できれば対応もできるが」「ロープを出して強行するか」……“「中止しよう!」……中止に決定する。残念ではあるが仕方無い。
下山は快調に標高を下げてゆく。小一時間でテン場に付き後ろを振り返ると。「もう少しだったな!行けたか!」「しょうがない諦めよう」
テントを撤収し林道に降りると林道の雪は綺麗に溶けている。「次回は大源太にするか」お疲れ様