今回の冬山は、昨年敗退した「仙丈ヶ岳」(地蔵尾根)の雪辱1日で計画されたものだが、生に変更を余儀なくされた。更に寒波の動きが遅く再三の計画変更により恵那山に決定したものである。

【1日目】
 大宮を夜間出発し、中央道の中津川IC を降りる。林道「大谷霧ガ原」の積雪は20 cm 程度、夜中の山間雪道走行は危険なため、欅平キャンプ場にて仮眠を取り、翌朝の早朝出発となる。気温は?5度、微風。

【2日目】
 気温?5度から-10度、微風、薄曇り。欅平キャンプ場から強清水(こわしみず)に向う、10分程度林道を走行すると強清水に到着する。林道脇にゲートが置かれ、冬期通行禁止の標示がある。此処には休息所と車2台分の駐車スペースが有り、左側には清水が勢い良く湧いているが「生
水での飲料禁止、煮沸する事」の注意書き。また林道を少し登ったところにはトイレも併設されている。今回は、此処より鳥越峠経由で恵那山に登る計画である。
 登山準備を行い、ビーコンを装着して登山開始!駐車場裏側に登山道が有り林道をショートカットしながら鳥越峠への取付き点を捜す。ショートカットを4回繰り返した所の樹木に黄色テープを見つける、此処までおおよそ30分。林道脇には丸太で作られた階段も設置され、それらしき踏み跡が有るため此処を登り始める。直ぐに激しいヤブとなり、伐採された樹木が山済みされた所を乗り越えて林道に出る。「この林道は」?「行き止まりの林道だ」左側にゲートが見える、そちらに進むとゲートには「神坂大橋(みさかおおはし)」の表示杭。(後から解った事だが、林道は6回ショートカットする必要があった。確認不足、反省!)
 直ぐに林道の分岐が現われ「神坂峠まで3km」の表示が有る。此処から林道をショートカットすると神坂峠まで行きそうなので林道を進む、5分程度で鳥越峠への立派な登山道標識を見つける。記録を撮ろうとデジカメを向けるが「バッテリー残量無し」、まだ何も使っていないのに寒さでバッテリーの能力低下、あまりに弱すぎるな。前のカメラは-20度でも使えたのに!
 急登の樹林帯を鳥越峠までつぼ足で登る。鳥越峠からは樹林帯と笹原の登山道をラッセルしながらのトラバース。やがて「ウバナギ崩落地」を通過する、あまり展望の望めない単調な登山で飽きが来る。「テント設営箇所は1800m付近ですね?」「テントが設置出来る場所が有ればどこでも良いよ」。広い山頂だ。「此処にテントを設置します」。三角点を中心に2張りほどテントを設置出来そうだ。今回は、三角点の南側にテントを設営する。
 テント設置場所の低い箇所に雪を追加し、スコップなどにより平坦にするため圧雪するが、パウダースノーのため締まらずに雪が移動してしまい、テントの床面を固定できない。仕方なく全体を均しての設営となった。直ぐに宴会となるが、車中での仮眠不足のためか早めの就寝と成る。このテントに10 人で寝た事があるとT氏、当然頭は交互にし、出入り口にも寝たとか。風が、樹木に付着した雪を落下させ、テントを時折叩いてい
る。「おやすみなさい」

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 合流点まで登れば山頂までの標高差は20m程度だし、雪はほとんど無いものと期待した。合流点には、泳ぐようにやっとの思いで到着。此処から山頂まで40分の標識がある。「さあ、あとは山頂を往復するだけ」と足を踏み出すと、期待は見事に打ち砕かれた!「雪が重い」少し進むが雪質に変化
はなく、スピードが出ない。「これでは往復に2時間は掛るか?」積雪量を測ってみると約1.5m以上はある。直ぐにリーダ達の協議が始まる。「登頂は断念します」!ここの標高2165m、山頂までは標高差30m 水平距離で約500m!足取り重くテント設営箇所に引返す。テントでは、興奮が納
まらないのか大宴会が延々と続いた!
 明日は帰路につかなければならず、諦めて就寝する。今日は身動きが取れない、当然寝返りも打てない。昨日は寝返りが出来たのに何故だろう?小一時間もするとO の寝返りが激しく繰返される、何をやっているのだろう?この理由は翌日のテント撤収で判明した。テント2泊の重みで雪が圧雪し、下にあった石が表面に出てきてO の背中部分に当たった為であった。これでは寝れないのも無理はない!

【4日目】
 気温-10度、無風、晴天。快晴!テントを撤収すると、綺麗な日の出を拝める。雪の付着した樹木に朝日が射し込むと、樹木全体が真紅に映え見事な景観を醸し出す。「こんなもんだよな」「今日は登山日和、トレースも付いているから強清水からでも日帰り出来るな」。タイムオーバの為、諦めて下山する。木々に付着した雪と抜けるような青空のコントラスト!見事に調和する。
 鳥越峠から強清水までの登山道には鉄製の階段が設置されている。トレースの後で雪が少なく、階段の端部に足を載せると非常に滑る!雪が階段を覆い隠しているため何処に階段があるのかわからない。
 強清水に下山し、中津川IC の手前にある地元の湯船沢温泉に入浴する。ここに食堂があり、昼食を頂く。

恵那山 中央アルプス(長野・岐阜県)冬山
      休みなくラッセルするがとどかず!

【3日目】
 気温?10度から-13度、弱風、薄曇り。恵那山登頂の日、かなり冷え込みが感じられる、しかし温度計では-10度?意外と気温が高い。
 つぼ足にて登山を開始するが、パウダースノーで締まらないため腰までのラッセルが始まる。直ぐに輪カンを装着しての登山に変わる。雪が軽いため輪カンの引き抜きはさほど苦にはならないが、軽い分雪の圧雪が出来ずに輪カン装着でも腰までの沈み込みが激しい。ただ天候は回復傾向に有るため、幸先がよさそうではある。
 大判山からは、アップダウンを繰り返しての登りとなる。「天狗ナギ」付近は狭い稜線の通過となるが、特に危険は感じられない。積雪量は、ピッケルの先端に土が付着するため70 cm 程度と思われる。天候の回復は生憎期待できそうに無く、展望はイマイチである。
 時間的制約や積雪が多いことから全体の休息を取らずに登山し、ラッセルの交代者ごとに休息および行動食を摂りながらの登頂となる。
O氏のラッセルは流石に年季が入っている。雪に残った輪カンのラッセル軌跡は見事な花魁歩きの軌跡を残している。(たしかにパウダースノーでは無駄かもしれないが、ここから先の重い雪には有効な歩き方だ。私も真似をしようと思ったが、私は体が硬い!変な力を加えると体を痙る危険がある、柔軟等をしてから再挑戦しよう。それまでは今のまま、力で推し進めることにする。)
 川上道合流点(一宮)の手前、おおよそ2000m 付近の急登から雪質が変化する。雪が重く輪カンが抜けない!足が抜けても足を踏み出せない!仕方なく手前の雪を、ピッケルで60cmほどの体の前に掻き落としながらのラッセルを強いられ、歩みが遅々として進まない。ラッセルの交代頻度を早め早めにするが、雪と格闘し弄ばれるように時間だけが経ってゆく。

 今回の山行では足が冷たく感じた。前回の仙丈ガ岳では-20度今回は-13度、靴もハイキングシューズ?から冬山用の靴にての山行。気温の計測者も仙丈ガ岳と同じHであり、水筒の水の凍結状況を見ても温度計の過ちは無いと思われる。考えられるのは次記。
 @体調不良(前日から風邪気味でノドが痛い)
 A昨年の凍傷により弱くなる(凍傷になると体自体の抵抗力が弱まる)
 B靴を冬用に変える(ハイキングシューズも冬山用靴も体感能力に差がない)
この頃の体調を考えるとAが一番怪しい、靴に防寒対策を施す必要が有りそう。検討課題。

平成23 年12 月24 日(土曜日)?12 月27 日(火曜日) 3泊4日(仮眠含む)
累積時間:17時間20分 累積距離:13Km(GPS データ)
【1日目】 12 月24 日(土曜日) 曇
大宮(21:00)/川島IC/中津川IC/給油/欅平キャンプ場(2:00) 【車中仮眠】
【2日目】 12 月25 日(日曜日) 薄曇り 時間:5時間 距離:4.2Km つぼ足:0.84Km/h
欅平(7:00)/強清水(7:10/8:40)/A 林道から登り(9:30/9:45)/行止り林道(10:00)/
B林道から登り( 10:15/10:30 )/鳥越峠( 11:40 )/P1594 ( 11:50 )/ウバナギ崩壊地
(12:35)/P1695 大判山(13:40)/テント設営/宴会/就寝(18:30) 【テント泊】
【3日目】 12 月26 日(月曜日)薄曇り 時間:9時間20分 距離:2.6Km 輪カン:0.39Km/h
起床(3:30)/大判山(6:40)/ワカン装着(6:50)/P1820(8:30)/天狗ナギ(9:10)/P
1972 ( 10:35 )/合流点( 12:50 )/断念地点( 13:15 )=下山=合流点( 13:25 )/P1972
(14:15)/天狗ナギ(14:40)/P1820(15:00)/大判山(16:00)/宴会/就寝(20:30)
【4日目】 12 月27 日(火曜日) 快晴 時間:3時間 距離:3.6Km つぼ足:1.2Km/h
起床(4:00)/大判山(7:35)/ウバナギ(8:00)/P1594(8:50)/鳥越峠(9:05)/B林道
(9:40/9:55)/強清水(10:35/11:15)/温泉(11:40/13:00)/昼食/中津川IC/大宮
メンバー:Ka:O(L),Hi:T(SL),Te:I,Sa:H,Ry:K,Na:G,Ka:T
7人(男性5人、女性2 人)
温泉:クアリゾト湯船沢800 円・ナトリウム炭酸水素塩・透明