戻る

剱岳

四日目に山頂に立つ

緊張、緊張の連続

参加メンバー;Hi.T(L)、Te.I、Ma.A、Sa.H、To.U、Ky.T
山行日程;5月3日〜8日
       5/4:馬場島ゲート6:25・・・馬場島8:30・・・雷岩・小窓尾根取り付き11:00・・・P1600m14:40(テント泊)
       5/5:テント場5:35・・・ニードル11:15・・・P2400m14:00(テント泊)
       5/6:テント場5:30・・・三ッ窓12:20・・・P2900m15:30(テント泊)
       5/7:テント場5:30・・・剱岳6:35・・・早月小屋11:00・・・馬場島15:30

小窓尾根は技術・体力に迷いながら参加した山行だった。危険なところではザイルを出してもらえるものと、あるいは迂回路があるのかも知れないと少し安易だったかもしれない。現場は初めから難関続きだった。雪崩現場を見ることから始まり、急な雪壁の登攀。ザイルの出しようもない、しかし、下は切れ込んだ谷。やっぱり私が来たのは間違っていたのではないかと少し後悔。でも、今更行かないとは言えない。やっぱり足を引っ張ることになるとは思いながら覚悟を決めた。足場がある程度しっかりしていたので良かったが、一歩間違えれば終わりになることは確かだ。慎重に一歩一歩登った。多くの荷物はメンバーに持ってもらいながらも、私にとって重い荷物を背負い、アイゼン履いての岩稜登攀はザイルを出してもらっても緊張した。あと一歩の足場がとれず引っ張り上げてもらったところもあった。「ここが核心部。ここを抜ければ後は何とかなるよ。」という励ましの言葉を何回聞いたことか。今来た道を戻ることさえももはや困難。「行くしかない。」の覚悟だけで登った。そんな連続だったけれど、一日一日と登っていくにつれて見ることのできた山々の景色は感動的だった。四日目にしてやっと剣岳登頂。そして良い天気に恵まれたのは最高だった。「こんな景色見るのは初めて!しかも、こうして登ってこなければ見ることのできない景色なんだと思うとこみあげてくるものがあった。」ここまで辿りつけたのはメンバーのお陰だという感謝の思いを胸に、二度と見ることができないであろうその景色を目に焼き付けておこうとじっと見入っていた。

 下山。あとは気をつけて雪稜を下るだけというはずだったのだが、下山道も結構なアップダウンがあり、そうでなければ、長い腐れ雪の急斜面であった。下山になると他のメンバーは足が軽い。体力のない私にとっては下山であっても長距離を一気に下りるのはきつかった。筋肉が疲労してくるとちょっとしたふらつきや滑りに対応できない。四回ほど足を滑らせた。三回は自分でも何とかなると思ったが、四回目は前にのめってしまい、きっかけをつかめずハッとした。その時、Hi.Tさんが下にいてくれて、体をぶつけて止めてくれた。下手したら共倒れにならないとも限らないのに、逃げずに止めてくれた。ありがとう。本当に申し訳なかった。四日かけて登った剱岳を一日で下りてきた。あの足を滑らせたのがルンゼ登攀の時だったら大変だったなと思った。

 それでも時が経つにつれ、怖かった思いよりも多くを助けてもらいながらも山行を完了できたことへの感激。綺麗だった景色や楽しかった思い出ばかりが強まっていくのだから勝手なものだと自分ながら呆れている。

 怖い思いをして登り、最高に綺麗な景色を見ることができて、天にも近づいた気持になり、下山時は滑落まがいで地獄に落ちるかもしれないところをなんとかこの世にとどまったという感じだ。人はしぶとく生きている時もあれば、あっさり死んでしまうこともあり、その運命は摩訶不思議。今回の経験を通して、「私はまだ生きていて良いのか。私がこの世でしなければいけないことは何なのだろう。」と考えさせられた。私のわがままを容認してくれたリーダーと四人のメンバーに心から感謝します。大宮労山に入って素晴らしい記念になった山行でした。           (Ky.T記)

怖かった、でも最高に綺麗だった

1日目
 登山口馬場島のゲート開放されない為、6km手前からの歩きとなる。天気は4日目より崩れるとの予報。テント、非常食合わせて4日分の食料、ロープ、ガチャガチャとメット、わかん、冬山装備とこれで登れるのと思う荷物が肩に食い込む。いつものようにリーダーがテントを持つ。感謝以外に何もない。馬場島から早月尾根方面と別れ白萩川に沿って進む。今年は雪が多く渡渉は無く小窓尾根取り付きまで行けた。雷岩で休憩中、先行の若いカップルが小窓尾根へ取り付き50m位登った所で上から大小の雪ブロックが多数落ちてきて若いカップルに何個か当たり治まりかけた所で走って下降しケガも無く難を逃れた様だ。我々は経験豊富なリーダーの下、登りにくいが木の茂っている尾根っぽい所を選んでルートを刻み進む。急な雪壁で息つく暇がない。寝不足の体に疲れ限界で本日テン場1600m付近の平らな部分で1日の行程終わり。ビールで乾杯宴会後20:00寝に入る。

2日目
 リーダーを中心に3時起床。本日核心部だとリーダー、明るくなった5:45出発。スタートは広めの尾根で青空の下気持ち良い。ニードルが目の前に見え本当に登れるのかと思う位にそびえ立っている。ニードルでリーダーがルート探し結局右側より懸垂下降しトラバース後又雪壁を懸垂下降する。尾根と雪の間に大きなクラックあり緊張するその後ドームを登るのに急な岩と雪の壁、緊張の連続、残置ロープと頼りない草木にしがみついて登る。雷岩で合った地元の人がここが核心部だと言っていた。ドームでこれから登るマッチ箱、登ったニードルが鋭く見える。前方に三人のパーティーが岩峰に苦戦しているのが見える。その取り付きまで行くがリーダーが時間を見て少し戻りドーム肩2400m付近に幕営するとの指示。リーダー明日の為に岩峰にロープをフィックスする。又宴会後寝に入る。

3日目
 朝2時頃誰かが足がつると騒ぎサプリメント飲め飲まないで3時かと思い目が覚めそれから眠れなく3時起床。快晴5:40頃出発 昨日ロープフィックスした所を登り狭い尾根に着く。登れそうもないマッチ箱がそびえている。両サイドがスパっと落ちていて高度感は抜群。リーダーのお助けロープに捕まりながら慎重に登る。ここが核心部。核心部だらけで緊張の連続。登り降りの連続で雪壁も落ちたら終わりの急な斜面。三の窓への懸垂。50m降り50mのトラバース。ロープでビレー取る。三の窓が幕営場所であったが明日の天気が午後より崩れるとの情報で14:30だが本峰へ向かい新たな幕営地へ向かう。稜線への長い雪壁、疲労で足が重い。稜線の所に2900m付近幕営地を見つけ風よけブロック積む。宴会後寝に入る。

4日目
 本日午後より天気崩れるとの情報でリーダー一1:50起床。ウー眠い5:30出発、本峰への登りは急な雪壁で慎重に登る。2時間位で本峰へ到着四日目でやっと山頂。曇り空の山頂からは360度の展望。各自写真撮り早月尾根へ。急な雪壁にはフィックスロープ有り慎重に降る。早月尾根で一羽の雷鳥に合う。感激し写真ぱちぱち。早月尾根も雪壁、雪の割れ目が多く気が抜けない四日目で疲労もピーク。早月尾根からは四日間登った小窓尾根全体が見える。なんだかんだで馬場島。ゲートが開いていることを聞きゲートの所にある車を回収したく帰る人に交渉する。もうみんな必死。親切な人見つけ回収する。日帰り温泉で4日分の汗を流しリーダー行きつけの居酒屋で宴会する。リーダーお疲れ様。  (Sa.H記)

剱岳山頂で

朝日に映える剱尾根の頭と早月尾根

 剱岳(一言感想)

 剱岳のすばらしい展望と好天にめぐまれ、思い出に残る山行になった。仲間との楽しいかたらいも忘れがたいひとときだった。(Te.I記)

 この度は特別な山行だった。小窓尾根はなかなか行けない場所だ・・・。
今回のメンバーでは難かしいルートだなーあと当初から思っていたがリーダーのもと何ら問題なく完登できた。
又、山行中天候に恵まれ、この天候に助けられた感が最も大きな安全登山につながった。
景観も最高であった。会員の皆さんに素晴らしい写真を公開したい。(Ma.A記)

 自分の技術以上のルート、不安の気持ちで参加した。リーダーの下、いろいろ勉強した。稜線のどこを歩くか、雪の状態を見きわめて歩く。この春山を安全に登るためには多くのトレーニングと経験が必要と感じた。
 いろいろな角度から見た剱、美しい。山頂に登った時、雪に埋もれて頂上ここかと、やったと心で感じた。(Sa.H記)

 いままでに参加し雪山の山行ではかつてない程のレベルの高さに、初日から不安な気持ちが大きく、疲労と緊張からすっかり食欲がなくなり体調不良になり皆さんには迷惑と心配をかけてしまいました。
 むずかしい山行だっただけにやり遂げた充実感も大きく頂上に立った感動は格別でした。(To.U記)

 好天に恵まれ剱岳小窓尾根を完登できたことをまずは喜びたい。小窓尾根が予想以上にむずかしく、体力、技術、緊張をフル活用させられた山行となりました。
 問題点もいろいろありましたがこれから話し合い、、磨き合って解決していきましょう。それでも雪の剱岳はすばらしかったでしょう。感動ものです。                            (Hi.T記)