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今年の五月連休の前半の山行は「帰雲山〜猿ヶ馬場山〜御前岳」と発表があった。さて私にも登れる山か、地形図を買って調べた。猿ヶ馬場山は岐阜県の北部で石川県との県境の近くの山(標高1827.4b)だった。これを北側の尾根から登り初日は1400〜1500b付近にテントを張るということなので標高差1000メートル以下、二日目も同じくらいで、傾斜も比較的緩やかだ。これなら私にも何とか登れると判断し申し込んだ。

4月28日22時大宮を出発、関越道、上信道、北陸道、東海北陸道を通って白川郷に入る。

 29日荻町の林道を詰めたところに駐車。そこから8時15分に登り始める。雪がところどころに残っている薮である。笹や細い木、根っこなどにつかまり体を引き上げて行く感じでみんなヒ―ヒ―声を挙げている。途中からHi.Tさんの指示で、雪が比較的多く残っている斜面に移って登り続けて約3時間で最初の目的ポイントの1062bの頂に到着した。
 次の目標点は1178bの水準点のあるピークを目指して一旦下る。鞍部まで下るとそこに林道が通っている。この林道を使えば1178bのピークを通らずに1336bの水準点との鞍部に入れると判断し林道を歩く。正解だった。

 これから1336メートルの水準点を目指そうと一本立てていると二人が下ってきた。二番目の人が「連休なので山は賑わっているだろうと思ってきたが、今日は三人だけです。」と話しかけてきた。静かな山を楽しめそうだ。テント場を目指してかなりの傾斜がある雪面をひたすら歩く。14時丁度ぐらいに適当なテント場を見つけた。

 今回のメンバーはドタキャンのSa.Hさんを除いて11名、テントは7人用と5人用の二張り。ゼネコンで現場監督の経験があるとかいうTa.Kさんの指揮の下、しっかりと雪均しができ、テントも張れて明るいうちから宴会が始まった。

 30日3時起床、5時50分テントを出発。まず、帰雲山を目指す。この山名をなんと読むか。インターネットで調べた人は「かえりぐもやま」と読むのだそうだ、それなりの謂れもあるようだと。きのう行き合った地元の人は「きうんざん」と言っていた。雪は締まっていてアイゼンがよく利き順調に登ってきて帰雲山には7時過ぎには到着した。ここから向きを東に転じて猿ヶ馬場山を目指す。今回のコースは全体的に尾根が広い。ガスが出てくると方向を間違う危険がある。しかしきのうも、きょうも見通しはよいし、きのう歩いた人の足跡もはっきりしているので安心だ(しかし帰りのことだが、先頭組が違う尾根に進み、それにみな引きずられてしまった。まだ大した距離でないところでHi.Tさんに間違いを指摘され事なきを得た。)。

東南からの風が強くなってきた。9時少し前に猿ヶ馬場山の頂上らしいところに着いた。「らしい」というのは頂上部が北西から東南に延びていてやたらとだだっ広くて、どこが最高地点かわからないのだ。それでも先頭組は東南の方にどんどん進んでゆく。そしてほぼ先端と思われるところで止まった。そこにはモミだろうか、針葉樹のてっぺんが雪の上にわずかに顔を出しその木に「猿ヶ馬場山」と記した木片が括りつけてあった。あとで地形図を調べたら三角点は北西端にあり標高1827.4b、東南端には水準点があってこちらは1875bであった。

猿ヶ馬場山って変な名前だと気になっていた。「馬場(ばんば)」というのは乗馬の練習をしたり、競馬をしたりするところのはずだ。猿が馬に乗るはずがない。この山の山頂に来てみて非常に広い平地だということが分かった。ここなら馬が走ってもおかしくない。しかし人間が常住するところではない。そこで猿を馬に載せたのだろう。辺りの木の様子から判断したのだろう、Hi.Tさんは「積雪約5メートル」と言った。
白山の山頂が見える。真っ白だ。快晴ならもっときれいに見えるはずだが薄曇りで残念だ。

思い出す。11年前の2000年5月5日にあの頂に立ったのだ。長い長い尾根を歩いて三日目にやっと登りつめた。Hi.T、Ka.T、Ki.K、Y氏、と私というメンバーだった。

 さて計画では南南東にある御前岳まで足を延ばすことになっていたがやめることにして帰路に着いた。帰雲山には登り返さず、これを巻いたこともあって11時15分にはテントに戻ってきてしまった。さあこれからどうするか。食料はある、酒もたっぷりある。正午前の天気予報を聞いて判断することにした。天気予報は「午後は雷がある。明日は広い範囲で雨」ということで帰ることに決まった。

 テント撤収に手をつけ始めた時いきなり雷が鳴り出した。林道から1062メートル地点に登り返すころから雷に加えて雨もひどくなりアラレが木の葉を打ち付ける。みんなの足がどんどん速くなり、私は離され前の人を見失うほどになって焦った。1062メートル地点を通過したのも分からなかった。

 きのうヤブこぎをしたところを下るのはいやだなとみんなの顔に書いてあったのをHi.Tさんが判断して一本東側の小さな尾根を歩くことにした。そして積雪のある沢に下り、それを下った。楽だ。しかし低くなってくるに従って雪が薄くなりスノーブリッジを踏み抜く場面が一度ならずあった。「車が見えたぞ」と声がかかった時には一同ホッとするとともにHi.Tさんの図読力にみんな舌を巻いた。         (Yo.S記)

積雪五bの猿ヶ馬場山

馬も走るか広い山頂

参加メンバー;Hi.T、Na.G、Ka.I、Ki.K、Ma.S、Tu.T、Ta.K、Sa.H、Yu.O、Ky.T、Yo.S
山行日程;4月28日〜5月1日

コースタイム;4/29:白川村荻町林道終点8:15・・・P1062.2m11:10・・・P1400m?14:00(テント泊)
         4/30:テント場5:50・・・帰雲山7:17・・・猿ヶ馬場山9:00・・・テント場11:15・・・林道??:??

猿ヶ馬場山        一言感想

 あこがれの行きたかった白川郷にこのような機会に行けて嬉しかった。ぬれ落ち葉の坂でずるずると滑ってなかなか上に行けず苦労した。テントの中でのおしゃべりは楽しかった。自分が難聴であることも忘れてしまっていた。
 たっぷりと早目に寝た次の日はアイゼンをつけて雪の中を歩き、歩きやすく快適でした。白山の山々の眺めはすばらしかった!!です。何年ぶりかの雪山、また行きたいです。ありがとうございました。(Yu.O記)

 厳しくも楽しく、思い出に残る山行となった。反省点も多いが、今後に役立てたい。いつもなんで山に登るのかと考えてしまうのだが、とにかく気分がすっきりするのが良い。(Tu.T記)

 1年ぶりの雪山、疲れました。普段いかに楽な生活をしていたか、思い知らされました。でも苦しかったけど楽しかった。(Ma.S記)

 大宮に入会して初めての山行。今回も魅力ある雪山山行でした。重い荷物でバテないか心配でしたが大丈夫でした。 ルートをとることのむずかしさを改めて感じました。これからもよろしくお願いします。(Sa.H記)

 三ヶ月半ぶりの雪山で、体力的にちょっと心配でしたが雪の状態も良く快適に歩けました。白山の展望が素晴らしく、心に残る山行となりました。白川郷の里の風景も桜が満開できれいでした。それから地図読みはむずかしいなとつくづく感じました。今更ですが、しっかり勉強していきたいと思いました。(Ka.I記)

 山行は休日と天気がいつも心配。今回も天気の関係で一日カット、残念。今回もいろいろ楽しかったです。(Ky.T記)

 思ったほどの雪ではなく少々残念!今年初めてのアイゼン使用でした。(Ta.K記)

 「帰雲山〜猿ヶ馬場山」メンバーのみなさん、いかがだったでしょうか。帰雲山、この山は「キウンザン」「カエリグモヤマ」どっちが正当な読み方でしょうか?
 天候判断のむずかしさで、雷・強風・雨・アラレの中の下山となりました。Yo.Sさん、Ma.Sさんにはキビシイ下山となったかと思いますが、何事もなく降りられました。ヨカッタ、ヨカッタ。
Yu.Oさん、登山の知恵、経験を頭の中にとっておきましょう。過去の登山が生かされていないよう感じました。スマナイ、スマナイガ。
 小林さん、登山用雨具を無視せずにザックに入れておきましょう。ドンナトキモ、ドンナトキモ。
 さあ、後半は「大宮労山GW雪山山行チャレンジ隊、剱岳小窓尾根に登ります。(リーダーHi.T記)