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     川内・大谷川 鎌倉沢

             加齢なる戦い「鎌倉沢」

私は60代、未だに沢が好きで楽しんでいる。今回の沢は泳ぎが多いと聞き、体力を考えてザックは日帰り沢用の軽いものにする。このザックに共同装備を考えて、荷造りをする。省けるものは徹底的に省く。テント無し、タープだけなので銀マットで体が入る袋を作る。暖かで軽いが少々狭すぎて失敗。2日目に破けてしまう。

入沢17日(土)、林道からゴルジュ帯の沢に入るや否や背の低い私はプカプカ浮き出す。離れないよう必死で続く。これからどうなることやら。昼頃雷が鳴り出し、大粒の雨が沢に突き刺す。休憩を兼ね、暫く待つが止みそうにないので早いがテン場を探す。タープを張り、葉を敷き詰め、焚き火の準備をする。1時間後やっと腰を下ろす。
 乾杯、食事、楽しい一時だ。だが、夕方の沢は透明から泥水になり、ゴウゴウと音を立て荒れ狂っている。増水した急流に飲み込まれたら人間だってひとたまりも無いであろう。急激な変化に胸がドキドキ。素早い対応に感謝。ここで虫に刺され、かゆ〜い。帰宅後、手足顔は腫れ上がり医者通い。

18日(日)、泳ぎが多いのでスパッツは不安と持たず、膝、向こう脛は傷だらけになる。岸壁も高巻きも垂直に近い。滝を登れず、荷物と体は別々にザイルで上げてもらう。ザイル使用4カ所、懸垂下降も5、6カ所。さすがに時間がかかる。手強い沢である。4時頃か?「このあたりで寝よう。」周りには木1本ない。6人が寝られる広さもない。自分で場所を決め、草の上にごろりとなる。

19日(月)、予備日突入。この日は崩壊寸前の雪渓に4回も出くわす(実際は18日)。1人1人気を付けながら急いで渡る。冷気が首筋に当たり気持ちが良い。メインの150mの白滝が現れる。幅こそ狭いが水量も多く、白く反射し煌めき優雅に流れている。滝上から1時間でやっと尾根に出る。みんなとがっちりと握手をする。逞しい手、手。昼食を摂り、下山口を探す。進み出すが、ウロウロするばかりで下れない。何回も軌道修正で、頂上近くで2時間のロス。やっと下り始めて3時間あまりで日本平への道らしき道に出たと思うとすぐ途切れてしまう。「あっちだ。」「こっちだ。」と言いながら進む。が、やぶや葦に阻まれ思うように進んでいない。18時頃ヘッドランプを出すが、「虫が来るから19時まで我慢して。」の声。薄暗い中、牛歩でしか動けない。暗夜で地図を何回も確認する。
 やっと林道に出る。22時半頃車に到着。ドロドロの靴だけ脱ぎ、車に乗り込む。携帯電話が繋がったのは15分後、連絡が出来て良かった。コンビニで汚い手足を洗い、車で着替えをし、弁当を買い、あわてて車の中に!

20日(火)午前4時前家に着く。シャワーを浴び、6時職場に向かう。1人1人の良さを沢山見つけた最高の沢でした。仲間に万歳。有難う。有難う。何回も言いたい。  (Na.G記)